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労務危機

男女賃金格差は差別?

 平成20年2月1日の新聞記事に「男女賃金格差は差別」という大きな見出しが載っていました。総合商社の元女性社員が男女のコース別人事による賃金格差は違法として損害賠償を求めていた裁判で、東京高裁が賃金格差を差別と認定した上で7250万円の賠償を企業に認めた事例です。

  この事例で問題となった男女のコース別人事は、会社が1985年に導入し、男性を一般職、女性を事務職と一律に振り分けコース別に賃金制度を設けたものです。会社は1997年の改正男女雇用機会均等法の施行前にコースの転換を可能とする制度を導入しており、しかも、導入当初の1985年は、男女雇用機会均等法も男女差別をしないことを努力義務とするにとどめていたため、第一審の東京地裁では、同社の措置は適法とし賠償責任を認めませんでした。

 しかし、東京高裁は、「コース別人事措置の適法性」ではなく、「業務の実態」に着目し、元女性従業員と男性社員とが同じ困難性の業務を行っていると認定した上で、労働基準法の男女同一賃金原則に違反することを根拠に会社の賠償責任を認めたのです。

 裁判の結果は、事案の本質を「コース別人事措置の適法性」(会社、地裁)と捉えるか「実際業務における男女差別の存在」(原告、高裁)と捉えるかにより分かれました。会社は直ちに上告の手続を取るといっており、裁判の行方は分かりません。 しかし、「制度」から一歩踏み込んだ「業務の実態」に着目した男女の待遇の平等への要請は今後益々高まると予想されます。平成19年4月から改正男女雇用機会均等法が施行され、また、人材難を背景に女性の職場環境の改善に向けた取り組みに対する社会の問題意識が高まっているためです。

 もしも記事の高裁判決のような結果が出た場合、会社は莫大な賠償責任を負うのみならず、社会的信用も失墜し職場の雰囲気の悪化や新規採用の困難等計りしれないダメージを受けます。しかも、業務の実態は会社が導入する制度と異なり普段は見落としがちな部分なのです。

 労務リスクの怖さは、このように普段目に見えないにもかかわらず一旦生じると企業に計りしれないダメージを与えるところにあります。そのため、最近では、取引所も上場審査時に労務リスクの存否とそれへの対応について厳しく審査するようになってきており、場合によっては上場時期の延期を余儀なくされることもあります。

 そうならないためには、早目早目の対応を行っていくしかありません。とはいえ、労務リスクの把握や、その対応策というのは、意外と自社でやってみると見落としポイントも出やすいので、我々のような上場準備に特化した労務コンサルティングを活用するのも一つの手だと思います。

株式会社大江戸コンサルタント
代表取締役  仲藤 和弘


 

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