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役員・コンプライアンス関係

当社の代表取締役は子会社の代表取締役も兼ねており、両方から報酬をもらっています。IPO準備において気をつけるべき点を教えてください。
現在、当社(資本金3億円)の監査役は1人のみで、税務顧問の税理士に監査役に就任いただいております。上場に際して弊害となるでしょうか。
どのような場合に役員の相互の親族関係や兼職状況が問題視されますか?
社外取締役を選任すべきでしょうか?
監査役は取締役会に出席する必要がありますか?
当社では従来より監査役により監査が行われています。今年からは、上場準備のために公認会計士による監査も始まりました。監査法人の監査に先立ち行われたショートレビューでは内部監査の不備を指摘されました。監査役監査、公認会計士による監査に加えて、内部監査までする必要があるのでしょうか。
役職の兼任がある場合、解消すべき場合と必ずしも解消する必要がない場合とがあると聞きました。どのような場合が解消すべき兼任状態となるのかについて教えてください。
証券会社より常勤監査役を選任するよう求められました。常勤監査役と非常勤監査役の違いはどこにあるのでしょうか?
当社では内部監査室を設置するほど人員がおりません。どのようにして内部監査を進めていったらよいのでしょうか。
当社は代表取締役所有のビルの1フロアーに本社を構えています。上場に際して、どのような問題があるのでしょうか。
内部監査にまわす人員が不足しております。内部監査は実際のところ、直前期からスタートすれば十分とききました。その真偽と直前前期の対応策を教えてください。
常勤監査役は週に三日出社すれば十分と聞きましたが、本当でしょうか。
内部統制監査に備えて、今から準備しておくことはありますか。

Q:当社の代表取締役は子会社の代表取締役も兼ねており、両方から報酬をもらっています。IPO準備において気をつけるべき点を教えてください。

A:親会社(上場申請会社)の代表取締役が、子会社の代表取締役も兼ねている場合、親会社の経営者自らが子会社の監督をできるというメリットがあります。しかし、見方を変えれば、何でも親会社の経営者が口を出すのは、子会社の健全な独立性の確保を阻害しますし、そもそも連結グループ全体として組織的経営がされているのか疑問といえます。ひいては子会社の存在意義自体も問われかねません。子会社の業務内容次第では、会社法上@競業避止義務の問題(会社法356条1項1号)が生じ得ますし、親子会社間で取引があるとA利益相反取引の問題(会社法356条1項2号)の問題が生じます(なお、100%子会社の場合は利益相反の問題は生じません)。

また、報酬の二重取りに関しては、親会社の株主がコントロールできるのは親会社の取締役の報酬だけにすぎず、子会社の取締役の報酬をコントロールできないことから、親会社の株主が許容した報酬以上の報酬を子会社からもらうことは投資家保護の理念にそぐわないという問題があります。よって、IPO準備において、そのような兼任関係は解消することが望ましいといえます。解消することのデメリットの方が明らかに大きく、かつ、投資家保護の観点から問題が少ない場合は、兼任関係を認めつつも、少なくとも報酬の二重取りをやめていただくこととなります。

Q:現在、当社(資本金3億円)の監査役は1人のみで、税務顧問の税理士に監査役に就任いただいております。上場に際して弊害となるでしょうか。
A:大会社(資本金5億円以上又は負債200億円以上の株式会社)でなければ、少なくとも会社法上は監査役は1人で十分です。しかし、上場を考えているのであれば、コーポレート・ガバナンス強化のために、監査役を3名以上にした上で、監査役会を設置することが望ましいといえます。

また、ベンチャー企業では税務顧問の税理士が監査役に就任しているケースは少なくありませんが、上場を考えているのであれば、常勤監査役を最低1人選任する必要があります。なお、顧問税理士は他の顧客を抱えている以上、常勤監査役を兼任することは無理といえます。これは顧問会計士、顧問弁護士でも同様のことがいえます。

また、会計事務所の職員が常勤監査役を兼任しているケースも散見されますが、これも常勤性の観点から無理があります。適当に肩書きをつけお茶を濁すのではなく、実態として監査役の権能を発揮していただくことで初めてコーポレートガバナンスの確保が可能となります。

Q:どのような場合に役員の相互の親族関係や兼職状況が問題視されますか?
A:これについては、たとえば、JASDAQの株券上場審査基準の取扱い1(2)b(b)の規定などが参考になります。これによると、次のイからニまでのいずれかに該当する場合は、「新規上場申請者の役員の相互の親族関係、その構成又は他の会社等の役職員等との兼職の状況が、当該新規上場申請者の役員としての公正、忠実かつ十分な業務の執行又は有効な監査の実施を損なう状況」が損なわれているとみなすとしています(一部要約)。

常勤の役員が、資本下位にある会社以外の会社の職務(非常勤を除く。)を兼ねているとき
管理部門に専任の役員が配置されていないとき
監査役が2名以上でないとき又は常勤監査役が不在であるとき(委員会設置会社 である場合を除く。)
取締役、執行役(協同組織金融機関の理事長、副理事長及び理事を含む。以下同 じ。)又は会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)の配偶者並びに二親等内の血族及び姻族が監査役又は監査委員(協同組織金融機関の監事を含む。以下同じ。)に就任しているとき

Q:社外取締役を選任すべきでしょうか?
A:投資家保護の観点からは、是非とも利害関係のない社外取締役に就任依頼をすべきと考えます。会社法上は株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(会社法363条1項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものを、社外取締役といいます(会社法2条15号)。

東京証券取引所が平成17年7月29日に公表した「コーポレート・ガバナンスに関するアンケート調査結果によると、社外取締役制度を採用している会社は東証上場会社の40%に上ります。そのうち半数近くが2名以上選任しています。なお、会社法上の社外取締役の定義からいうと、会社と利害関係があるか否かは問題とされません。しかし、投資家保護の観点からは利害関係のない社外取締役を選任する方が望ましいといえます。実際に上述のアンケート結果においても、利害関係のない社外取締役を選任していると回答した会社は半数を超えています。社外取締役制度の採用において、もっとも障害となるのが人材の不足です。もっとも適任と思われるのが、利害関係のない業界に属する会社を経営した経験のある元代表取締役でしょうが、そのような力量のある方がうまく見つかるとは限りません。そのような事情もあって、弁護士が選任されるケースも少なくありません。確かに、投資家利益を損なう不祥事の多くは、同時に法的問題を伴うことから、弁護士による法的観点のサポートは重要です。ただし、法的サポートはできても、経営者の視点を有しているかどうかは別といえます。

Q:監査役は取締役会に出席する必要がありますか?
A:あります(会社法383条1項。公開会社でない株式会社で、定款で監査役の範囲を会計監査に限定している会社を除く)。取締役会に出席して、しっかりと取締役の監督を行う必要があります。

なお、上場準備会社の場合、監査役に会計監査権限しかもたせてない状況は、審査においてマイナス要素となります。会社法導入前の中会社や小会社で公開会社でなければ、従来通り会計監査権限しかないことになりますが、業務監査も行えるよう定款変更を急ぐ必要があります。そして、定款変更前であっても積極的に取締役会に出席して意見を述べることはむしろ望ましいといえます。上場審査ではコーポレート・ガバナンスの実効性が問われることから、業務監査権限が無いことに拘泥するよりは、積極的に監査機能を果たす方が望ましいからです。

Q:当社では従来より監査役により監査が行われています。今年からは、上場準備のために公認会計士による監査も始まりました。監査法人の監査に先立ち行われたショートレビューでは内部監査の不備を指摘されました。監査役監査、公認会計士による監査に加えて、内部監査までする必要があるのでしょうか。
A:結論から申し上げますと、上場を視野に入れているのであれば内部監査の導入は不可避といえます。ベンチャー企業はとかく、まず営業ありきの風土となりがちです。スタートアップ〜アーリーのステージにおいては社長の熱意とコアな社員の猛烈ながんばりで会社をある程度まで大きくすることができます。しかし、事業が成長し、会社の規模が大きくなるに従って、経営者の目が行き届かなくなってしまいます。事業をさらに大きくしたいのであれば、従来の個人商店から組織的経営に切り替える必要があります。組織的経営は適切に権限委譲がなされるとともに、いわゆるPlan、Do、See、Actionのサイクルに基づき経営が行われることで成立します。内部監査は経営者のアシスタントとして、社内の監査対象から独立した内部監査人により行われます。経営者からの権限委譲が前提になっているわけです。また、監査対象から独立していることもポイントです。監査対象独自の「See」も必要ですが、監査対象から独立した者による客観的な目で見た「See」が、組織を強くします。内部監査は、社内の各業務が法規や社内規程に基づき適切に実施されていることを確認するとともに、さらなる改善の余地がないかにつき検討を加えます。監査役監査、公認会計士による監査との違いは次の通りです。

 監査役監査公認会計士による監査内部監査
根拠法会社法金融商品取引法・会社法特になし
担当者監査役公認会計士・監査法人内部監査人
監査の内容業務監査及び会計監査 (なお、公開会社でない株式会社で、定款で監査役の範囲を会計監査に限定している会社については会計監査のみ) 会計監査通常は業務監査及び会計監査(業務監査だけの場合、会計監査だけの場合もあり得る)
目的株主のために取締役の業務遂行上を監督財務諸表の適正性経営者のために社内各部署の業務遂行状況を監査
監査対象取締役がメイン財務諸表社内の各部署

なお、内部監査室の設置は必須とまではいえません。ベンチャー企業では内部監査のためだけに専門の人員を1人配置するほど人的・金銭的余裕がない状況もあり得るでしょう。そこで、最近では会社規模によっては経理部長や総務部長等が兼務するケースも散見されます。ただし、証券会社や証券取引所の審査上コーポレートガバナンスが不十分な印象を与えてしまうリスクがあることは承知しておく必要があります。

Q:役職の兼任がある場合、解消すべき場合と必ずしも解消する必要がない場合とがあると聞きました。どのような場合が解消すべき兼任状態となるのかについて教えてください。
A:組織図上同一の次元の兼任(横の兼任)は上場審査上、解消を求められます。たとえば、営業部長が経理部長を兼ねるケースです。横の兼任は部門間の牽制効果が期待できないことから、内部統制が無効になりがちなので、解消の必要が生じるわけです。

これに対して指揮命令系統が縦の関係にある場合の兼任は、通常は許容されます(営業本部長が営業第1部長を兼任するケース)。これは、縦の兼任の場合、横の兼任で想定される弊害がないからです。縦の兼任は人員増に伴い自然に解消するケースが多いといえます。もっとも、すべての縦の兼任が許容される訳ではありません。投資家から見れば会社という生き物(組織)に投資をするわけですから、兼任が行き過ぎると組織的経営が実現できていないということとなり、上場審査上解消が要求されるケースも出てきます(たとえば、社長が経理部長を兼任するケース)。

Q:証券会社より常勤監査役を選任するよう求められました。常勤監査役と非常勤監査役の違いはどこにあるのでしょうか?
A:ベンチャー企業で常勤監査役がいるケースはほとんどないものと思われます。中には常勤監査役と称する方を配置している会社もありますが、日常的には営業業務をしていたり、顧問会計事務所の職員であったりするケースがほとんどです。しかし、上場しようとするのであれば、常勤監査役を少なくとも1人は選任する必要があります。そこで、常勤監査役と非常勤監査役の違いが実務上問題となってきます。この点、「常勤性」をどのように考えるかについていくつか学説がありますが、コンプライアンス確保の観点からは、他の従業員と同様通常の営業日・営業時間のすべてを勤務に従事していると考えるべきです。これを受け入れるか否かは経営者のコンプライアンス確保の姿勢が如実に浮き出るポイントといえます。

Q:当社では内部監査室を設置するほど人員がおりません。どのようにして内部監査を進めていったらよいのでしょうか。
A:内部監査室を設置し、専属のスタッフを配置することが望ましいのですが、なかなかそうもいかないことかと思います。当初は総務部長等が兼任することもやむを得ないでしょう。この場合、気をつけなければならないのは総務部長が兼任した場合は、総務部に対する内部監査ができないということです。なぜなら、内部監査は被監査対象から独立した立場の者によって行われなければ意味をなさないからです。

また、内部監査人以外の者によって内部監査の業務を対象とした内部監査をする必要があるかどうかですが、内部監査の報告書が社長等に報告されることで社長によるモニタリングが行われていることからその必要はないといえます。

Q:当社は代表取締役所有のビルの1フロアーに本社を構えています。上場に際して、どのような問題があるのでしょうか。
A:利益相反取引に該当することになります。そのため、株主総会において、その取引に付き重要な事実を開示して、承認を受ける必要があります(会社法356条1項2号)。なお、取締役会設置会社の場合、株主総会ではなく取締役会の承認となります(会社法365条1項)。

また、代表取締役は関連当事者に該当しますので、金融商品取引法上および会社法上、注記表において開示する必要があります。

さらに、引受審査において、関連当事者取引の妥当性は入念にチェックを受けます。関連当事者取引は投資家の利益を損なうケースが少なくないからです。

ベンチャー企業においては、スタートアップ時は創業者の私的財産と会社の財産の境界が曖昧となるケースがあります。上場準備では、パブリック・カンパニーになる覚悟が問われます。上場を見据えるのであれば、 本社移転も視野に入れるべきといえます。
Q:内部監査にまわす人員が不足しております。内部監査は実際のところ、直前期からスタートすれば十分とききました。その真偽と直前前期の対応策を教えてください。
A:回答は会員ページに掲載しております。
Q:常勤監査役は週に三日出社すれば十分と聞きましたが、本当でしょうか。
A:回答は会員ページに掲載しております。
Q:内部統制監査に備えて、今から準備しておくことはありますか。
A:回答は会員ページに掲載しております。

 

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