ホーム 記事を読む ツールを使う IPOを学ぶ 転職・求人 会員登録
 TOP>会員からの質問にプロが回答!IPO質問集>財務会計・管理会計関係
■IPO質問集

金融商品取引法関係

証券取引所関係
IPO関係
作成書類関係
株主総会関係
役員・コンプライアンス関係
資本政策関係
財務会計・管理会計関係
その他

財務会計・管理会計関係

当社は大の得意先であるA社の株式の40%を所有しております。また、当社の代表取締役がA社の株式を15%所有しております。IPO準備において気をつけるべき点があれば教えてください。
増資した額の一部を資本準備金に回すメリットは?
決算期の異なる子会社があります。親会社の決算期とあわせるべきでしょうか。
公認会計士による監査には金融商品取引法によるものと会社法によるものとがあると聞きました。その違いを教えてください。
公認会計士による監査は何期分必要でしょうか?
決算のやり直しはどうすればよいのでしょうか?
今期、退職する役員に慰労金を支給する予定ですが、何か留意すべきことはありますか?
いま上場直前々期(以下、今期)の決算を終えたところです。今期より監査法人の監査を受けていることから、過年度の損益修正が必要となり、今期の損益計算書に前期損益修正損が計上されることとなりました。過年度の決算が誤っていたということなので、 今期の損益計算書に前期損益修正損を計上するのではなく、むしろ前期の決算を修正した方がよいのでしょうか。
部門別の予算も作成すべきでしょうか?
連結配当規制適用会社となるためには、取締役会でその旨決議する必要があるのでしょうか?

Q:当社は大の得意先であるA社の株式の40%を所有しております。また、当社の代表取締役がA社の株式を15%所有しております。IPO準備において気をつけるべき点があれば教えてください。

A:御社が保有しているA社の株式だけみれば議決権割合は40%に過ぎないことから、形式的にはA社は御社の子会社としては扱われないことになりそうです。しかし、財務会計上、子会社かどうかは議決権だけではなく、実質的に判断することとなります。すなわち、「他の会社等の議決権の百分の四十以上、百分の五十以下を自己の計算において所有している会社」であって、かつ、「自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者及び自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の会社等の議決権の過半数を占めていること」(財規8条4項2号)に該当すれば、議決権保有割合が50%を切っていても、子会社という扱いになります。この点、御社はA社の株式を40%所有するとともに、御社の代表取締役がA社の株式を15%所有しております。また、御社の代表取締役は、その地位からして、御社の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者に該当するといえるでしょう。よって、実質基準によりA社は御社の子会社に該当することになります。

そうなると、A社を連結対象とした連結財務諸表を作成する必要があります(子会社であっても重要性が低ければ連結対象としないことも可能ですが、A社は大の得意先とのことですから、重要性が低いとはいえません)。他に子会社がなければ決算コストや監査コストが増大することは不可避となります。その上で、A社向けの売上は連結上相殺する必要があります。A社のグループ外売上がゼロであれば、連結グループとしては売上ゼロとなるわけです。このようなコスト増加を回避したいのであれば、直前前期より前に、会社および(または)代表取締役のA社株式保有割合を低めておく必要があります。

Q:増資した額の一部を資本準備金に回すメリットは?

A:増資額については、全額を資本金とすることもできますし、増資額の半分を上限に資本準備金に回すこともできます。税務においては資本金の額次第によって増資時の登録免許や税務処理が異なるケースがあることから、一般的にはなるべく資本金の額を低く抑えておくことに税務上のメリットがあります。また、会社法上、大会社(資本金要件は資本金5億円以上)だと会計監査人(公認会計士または監査法人)による会計監査が必要となります。よって、5億円未満(たとえば4億9千万円)に資本金を抑えておく株式会社もあるほどです。

IPOを前提とすればいずれ公認会計士または監査法人による監査も必要となりますが、タイミングが早すぎても会社法監査のコスト負担が重くのしかかるだけです。資本金増加に伴いなんらかのメリットを失う可能性がある場合は、増資額の一部を資本準備金へまわすことも検討に値するといえます。

Q:決算期の異なる子会社があります。親会社の決算期とあわせるべきでしょうか。

A:本来であれば連結子会社について親会社の決算期とあわせる形で仮決算をした上で連結すべきです。もっとも、決算期のずれが3ヶ月以内であれば連結子会社の連結子会社の決算をベースにした上で所要の修正をするだけで連結することが可能とされています(連結財規第12条)。しかし、連結グループとしての経営管理の観点からは決算期をあわせておく方が望ましいといえます。

Q:公認会計士による監査には金融商品取引法によるものと会社法によるものとがあると聞きました。その違いを教えてください。
A:金融商品取引法193条の2により上場会社は財務諸表について特別の利害関係のない公認会計士又は監査法人による監査証明を受けなければならないと定められています。この金融商品取引法による監査では、財務諸表が適正(又は不適正)である旨の監査意見が出されます。

一方、会社法により、大会社(資本の額が5億円以上又は負債の合計額が200億円以上である株式会社)は公認会計士又は監査法人の監査が必要とされています。これを会社法監査といいます。公認会計士又は監査法人は会計監査人という位置づけになり、株主総会で選任されます。会計監査人は登記事項となります。会社法監査では計算関係書類が適正である旨の監査意見が出されます。なお、会社法監査は会計年度を単位として行われるため、四半期レビューはありません。また、大会社でなくとも任意で会計監査人を設置することは認められています。

大会社に該当する会社で上場していない会社はたくさんあります。そのような会社では会社法監査は受けるものの金融商品取引法による監査は受けないこととなります。また、新興企業向け市場が整備されたこともあって、資本の額が5億円未満の上場会社もでてきており、そのような会社では金融商品取引法による監査は受けるものの会社法監査は受けないこととなります。

IPO準備で必要となる公認会計士による監査とは金融商品取引法による監査を指します(グリーンシートについては会社法監査に準じた監査でOK)。金融商品取引法による監査の場合、会社法監査と異なり株主総会による選任は不要です(取締役会の決議は必要です)。

Q:公認会計士による監査は何期分必要でしょうか?
A:通常は2期分必要です。もっとも、設立第1期を直前事業年度として申請する場合は1期分だけで十分です。なお、グリーンシートにおいては会社内容説明書における事業計画の開示を要件として登録初年度に限り1期分だけの監査証明(会社法監査に準じた監査でOK)で十分とされています。

Q:決算のやり直しはどうすればよいのでしょうか?
A:監査法人の監査の結果、過年度の決算のやり直しが必要となることがあります。この場合、修正後の貸借対照表・損益計算書等について臨時株主総会で承認し直すこととなります。さらに、附属明細書も作り直します。税務申告についても対応可能なものについては対応していくこととなります。

Q:今期、退職する役員に慰労金を支給する予定ですが、何か留意すべきことはありますか?
A:まず、支給に先立って退職慰労金の規程を設けるべきです。また、退職慰労金も役員報酬に変わりはないので、株主総会での決議を経る必要があります(定款で定めていない場合。なお、株主総会において具体的金額を決議せず、取締役会に一任する旨のみ決議するケースが実務上よく見受けられます。株主への説明責任という観点からは改善が必要な実務慣行といえます)。もし、赤字を垂れ流している状況であれば、規程通りの支給をすることへの風当たりも考慮する必要があります。

なお、退職慰労金規程の支給基準に基づき、他の役員に将来支給予定の退職慰労金の当期負担額を見積もることが可能となることから、退職慰労引当金の計上も必要となります。

Q:いま上場直前々期(以下、今期)の決算を終えたところです。今期より監査法人の監査を受けていることから、過年度の損益修正が必要となり、今期の損益計算書に前期損益修正損が計上されることとなりました。過年度の決算が誤っていたということなので、今期の損益計算書に前期損益修正損を計上するのではなく、むしろ前期の決算を修正した方がよいのでしょうか。
A:監査が入ったことをきっかけに前期までの要修正事項が洗い出されて、一括して前期損益の修正が必要となるケースはよくあることです。そこで通常は、監査初年度に前期損益修正をすれば十分といえます。相当以前から決算に誤りがあるのであれば、前期の決算を修正したところで、前々期の決算以前が誤っていることには変わりはなく、すべての期間にわたって決算の修正をするのは実務的に無理が生じてしまうからです。

なお、目論見書のハイライト情報には通常5期分の損益情報等が記載されます。また、特別情報の欄には直前期・直前前期より前の3期分が記載されます。そこにおける情報が投資家に誤解を与えかねないほどの誤りであれば、直前前期より3期前に遡って修正することも検討した方がよいといえます。その場合の手続は会社法上明示されていませんが、臨時株主総会を開催し、承認決議を取り直すのがIPO実務上は一般的です。

Q:部門別の予算も作成すべきでしょうか?
A:会社全体で一部門しかないような特殊な事例を除いては作成すべきといえます。

管理会計上、ボトムアップ(積み上げ型)の予算制度を採用することが望ましいとされていますが、積み上げを行う場合、部門等の小単位の予算をおのおの確定し、積み上げていくことから、必然的に部門別の予算が作成されることとなります。また、一応ボトムアップで積み上げたものの、「鉛筆を舐め舐めして」調整を繰り返した結果、全社予算のみが完成したような場合、部門別予算も作っておかないと予実分析のときに詳細な分析ができなくなってしまいます。部門長の業績把握・事業撤退の判断等の観点からも部門別の予算は必須といえます。

なお、部門別予算を策定した場合、予実分析を可能にするために、実績値、すなわち日々の会計データにおいても部門コードを付していかないといけないことになります。もっとも費用対効果および管理可能費に重点を置く観点から、部門長が管理不能な費目については、本社費として部門に賦課しないという方法を採用することも検討に値するといえます。

Q:連結配当規制適用会社となるためには、取締役会でその旨決議する必要があるのでしょうか?
A:連結配当規制は、配当という重大な問題に関わる以上、必要になると考えられます。

なお、会計監査人設置会社を前提にすると、計算書類は取締役会の承認が必要となります(会社法436条3項)。その次に株主総会の承認が必要となるのが原則(会社法438条2項)ですが、計算書類の承認の特則(会社計算規則163条)の要件を満たすのが普通ですので、取締役会の承認で、計算書類が確定することになります(会社法439条)。連結配当規制の適用を考えている会社が作成する注記表には、連結配当規制適用会社である旨、記載されています(会社計算規則129条1項11号)ので、計算書類の確定をもって、連結配当規制適用会社になると考える余地もあるかと思われます。しかし、計算書類の承認は表示面の承認にすぎないと考えれば、計算書類の承認に先立ち、連結配当規制適用会社となる旨の取締役会決議をするのが妥当と思われます。

 

Powered by 株式会社上場ドットコム,Copyright(C) Jyoujyou.com, Limited ,2006, All rights reserved.