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会社法で新設の「過年度修正」の使い勝手は? 過年度の誤謬や粉飾の訂正には使えず!
5月1日から施行される会社法で、ひそかに注目されているのが、いわゆる過年度修正だ。IPO準備において過年度修正がどのように使われるのか、また、その使い勝手を探ってみた。
事業報告の「株式会社の現況に関する事項」の一つとして「直前三事業年度の財産及び損益の状況」の開示が求められている(会社法施行規則120条1項6号)。そして、会社法施行規則120条3項には、過年度事項(過年度の決算の内容)が「会計方針の変更その他の正当な理由」により、過去に定時株主総会にて承認又は報告をしたものと異なっているときは、修正後の過年度事項を反映した事項とすること(以下、「過年度修正」とする)も認められている。
IPO準備会社では監査人が入る前の財務諸表は間違いだらけなのが珍しくない。場合によっては、銀行対策から減価償却費が過小計上されているといった粉飾決算も少なくない。そこで問題となるのが、「単なる間違いや粉飾の修正」に過年度修正を使えるのかどうかだ。上場ドットコムの取材の結果、次の2点から「単なる間違いや粉飾の修正」に過年度修正は使えないという結果が判明した。
理由1:過年度修正は確定決算を変更するものではないこと 通常、監査人のショートレビューにより指摘された過年度事項は、当期(ショートレビューを受けた期)の特別損益の過年度損益修正とするか、あるいは、臨時株主総会を開催し修正後の計算書類を承認し直すこととなる。後者は商法においても明示された手続ではなく、実務慣行として、それもひっそりと行われているが現実だ。過年度修正は確定決算を変更するものではないことから、あくまで過年度修正が入る前の数字が確定決算の数字となる。過年度修正は事業報告上の過年度の数字及び当期の開始残高を変更するだけの役割しかないことになる。
理由2:「単なる間違いや粉飾の修正」は「会計方針の変更その他の正当な理由」に該当しないこと
過年度修正が予定しているのは、減価償却の方法を定額法から定率法に変更する方が会社の経済的実態を適正に示す場合等「会計方針の変更その他の正当な理由」がある場合だけだ。監査人の指摘で発見されたような単なる誤謬あるいは粉飾決算等を正しいものに修正することは「会計方針の変更その他の正当な理由」に該当しないこととなる。
結局のところ、「単なる間違いや粉飾の修正」を、当期(ショートレビューを受けた期)の特別損益の過年度損益修正とせず、過去の確定決算の数字の変更としたい場合は、従来通り法律に明示されてない手続を踏まざるを得ないこととなる。
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