今後の賃金制度のあり方は?
日本経済団体連合会は、12月19日に、2008年版経営労働政策委員会報告を公表した。これは、今春の労使交渉に向けた経営者側の基本スタンスを明らかにする報告書である。 各マスコミでは、「賃上げ容認」ばかりが強調されているが、報告書では、これ以外にも「今後の雇用システムのあり方」を展望しており、各社の人件費決定の参考になるものと思われる。たとえば、従来から言われているとおり、賃金決定を考える場合、総額人件費をベースにするという視点である。 厚生労働省「毎月勤労統計調査」などのデータを見ると、所定内給与が100の場合、所定内給与の変動が法定福利費や退職金等に波及するため、トータルで見た総額人件費は約170となる。とかく、賃金決定の際には所定内給与や賞与・一時金に目が行きがちだが、人件費全体で考える視点は極めて重要である。 また、賃金制度の見直しに関して、従来型の年齢や勤続年数ではなく、自社に見合った形で、「仕事・役割・貢献度を基軸にした賃金制度」をつくることも提案している。この仕組みは若い社員が多いベンチャー企業の場合、社員の納得性の確保・モチベーションの維持の観点から有効と思われる。ただし、短期的な成果だけにとらわれず、中長期的な課題や難しい課題へのチャレンジ、成果を上げるプロセスもあわせて見ていく「透明度と納得性の高い人事評価」とのパッケージで考えることが不可欠である。 こうした「開かれた賃金制度」を定着させるには、日頃から、経営トップと社員との間で良いコミュニケーションがなされ、風通しのよい職場になっているかがポイントとなる。それは長時間労働に象徴される非効率な仕事の進め方を見直す上でも大きな役割を果たす。今後、こうした取り組みを積極的に進める企業が、生産性も高く、社員にも働き甲斐のある職場として評価されるものと思われる。