これから指摘することは、特に創業してまだ何年も経過していない新興企業に多く見られることです。 社長が会社の業績の上昇に自信を持ち、上場を考えるようになると、まずその目標時期を設定します。「○年になれば売上高***円、経常利益***円が見込める。ここで上場だ」となるわけです。しかし、残念ながら、社長の予測通りに上場が実現することはほとんどないと言って間違いありません。上場は、社長が考えているよりも何年か遅くなるのが普通です。なかには、上場の見通しが全く立たなくなってしまった会社もたくさんあります。その原因として非常に多く見られるのは、予測どおりに業績が伸びない、特に売上高は伸びても利益が伸びないということです。 では、何故このようなことが起こるのでしょうか?それは、これから申し上げる大事なことを忘れてしまって業績見通しを予測するからです。企業が売上高を伸ばすためには、@営業関係の社員数を増加させなければならないし、A販売地域の拡大のためには、新設を含め、事業所の拡大も必要になります。また、上場を目指すことに伴って、B管理部門の人員も予想以上に大幅に増加します(これは、「増加させなければならない」ものです)。 その結果、C本社社屋もより広いところに移転しなければならなくなりますし、D監査法人関係の費用等、上場準備に係わる費用負担ものしかかります。要するに、会社の販売管理費(経費)が予想以上に増加し、売上高は伸びたけれども利益が伸びない、あるいは利益がでないということになるわけです。結果として、上場も先送りしなければならなくなります。これは本当によくあるケースです。上記@〜Dまでの視点をすっかり忘れて、業績の伸びを予測するから、このようなことが起こります。 上場準備の世界では、「本社を三回替わってやっと上場の資格を得る」とよく言われます。この言葉の背景には、上場するには一定の規模も必要だということがあります。すなわち、予想以上に増大する経費をクリアして、その上で利益を出していくだけの力がついたときが上場の資格を得たときだと言えるのです。