ホーム > 株式公開の用語を調べる > 
宝印刷


会員向けCONTENTS

  • なんだか難しそうに見える資本政策案を簡単に作るためのプログラムを用意しました。何回でも作り直せます。プロに頼む前に、経営者のイメージを形にしてみましょう。→こちらをクリック!
  • 上場準備関係の制度や法令は頻繁に改正されることから、常に新しい知識にアップデイトしておく必要があります。上場準備の知識の“最前線”をピックアップしました。→こちらをクリック!
  • 当然のことですが、上場準備会社は株式公開とともに上場会社になります。そうであれば、上場準備中であっても、上場した後に備えて上場会社の情報を把握しておくことが必要になります。→こちらをクリック!
  • IPOにより創業者が手にする利益の概算額を簡単に計算する創業者利益ジェネレータを準備しました。→こちらをクリック!
  • 「上場するまでにいったいいくらのコストがかかる?」「VCからお金を調達するためのコツは?」等々会員向けにプロがホンネで回答します。→こちらをクリック!
  • 「株式公開準備虎の巻」など役に立つコンテンツを掲載しています。→こちらをクリック!

会員向けサービス

  • 「わが社のIPO準備の到達度はいったい何パーセント?」 そんな経営者に疑問にズバリお答えします。→こちらをクリック!
  • プロによる事業計画診断で事業計画をブラッシュアップ!会員向けに無料で提供いたします。→こちらをクリック!

財務会計・管理会計関係

連結財務諸表 組替表 関連当事者
親会社・子会社 関連会社 関係会社
マネジメントレター セグメント情報の注記 非支配株主に帰属する当期純利益
税効果会計 剰余金の配当 任意積立金の目的内取崩
自己資本利益率 予実分析

連結財務諸表

親会社の貸借対照表・損益計算書と子会社の貸借対照表・損益計算書を合算した上で、連結グループ内部の取引を相殺等することにより作成する財務諸表です。連結財務諸表を作成すると、連結グループの財政状態及び経営成績が明らかになります。たとえば、子会社へ売り上げた分について子会社において在庫となっている場合は、連結グループ外への販売に至ってないことから、その売上は連結損益計算書上は除外されることとなります。連結グループ外に売却して初めて連結損益計算書における売上となるわけです。連結財務諸表は親会社だけでなく子会社の業績が確定しないことには作成できません。そこで、子会社の決算の早期化および連結データの迅速な収集がスムーズな連結財務諸表の作成のための鍵となってきます。上場準備においては、上場後の連結業績の適時開示に備えて、連結財務諸表の作成のための仕組み作りと担当者のトレーニングが必要不可欠となります。

組替表

決算修正後の試算表を組み替えて、会社法の計算書類であるB/S・P/Lや金商法における開示用のB/S・P/Lを作成します。そのときに用いるのがいわゆる組替表です。法定の資料ではありませんが、どのような組替(科目を束ねたり、取り出して別掲したりする作業)を実施したのかについて経理担当者しかわからないようでは、上長も組替内容を承認しようがありませんし、監査役監査や監査法人の監査を受ける際の説明にも苦慮することになります。また、担当者が変われば前期と異なる組み替えが行われるリスクもあります。そこで組替表を作成し、承認、監査対応および引き継ぎに備えることとなります。

関連当事者

関連当事者とは、企業会計基準第11号「関連当事者の開示に関する会計基準」によると、ある当事者が他の当事者を支配しているか、または、他の当事者の財務上および業務上の意思決定に対して重要な影響力を有している場合の当事者等を言います。具体的には次のとおりです。
① 親会社
② 子会社
③ 財務諸表作成会社と同一の親会社をもつ会社
④ 財務諸表作成会社が他の会社の関連会社である場合における当該他の会社(以下、その他の関係会社という)ならびに当該その他の関係会社の親会社および子会社
⑤ 関連会社および当該関連会社の子会社
⑥ 財務諸表作成会社の主要株主(10%以上の保有)およびその近親者(*)
⑦ 財務諸表作成会社の役員およびその近親者(*)
⑧ 親会社の役員およびその近親者(*)
⑨ 重要な子会社の役員およびその近親者(*)
⑩ ⑥から⑨に掲げる者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社およびその子会社
⑪ 従業員のための企業年金(企業年金と会社の間で掛け金の拠出以外の重要な取引を行う場合に限る)

なお、連結財務諸表上は連結子会社を除きます。また、個別財務諸表上は、重要な子会社の役員およびその近親者並びにこれらの者が議決権の過半数を自己の計算において所有している会社およびその子会社は除かれます。また、①から⑤及び⑩に掲げる会社には、会社だけではなく、組合その他これらに準ずる事業体が含まれます。

* 二親等以内の親族をいいます。すなわち、配偶者、父母、兄弟、姉妹、祖父母、子、孫及び配偶者の父母、兄弟、姉妹、祖父母並びに兄弟、姉妹、子、孫の配偶者をいいます。

財務諸表の提出会社と関連当事者との間に取引がある場合(当該関連当事者が当該提出会社の親会社、その他の関係会社、主要株主または役員(以下「親会社等」という)の場合であって、親会社等が第三者のために当該提出会社との間で行う取引がある場合および当該提出会社と第三者との間の取引で親会社等が当該取引に関して当該提出会社に重要な影響を及ぼしている場合を含む)には、その重要なものについて、次に掲げる事項を財務諸表に注記する必要があります(財規8条の10第1項)。注記は原則として関連当事者ごとに行われます。

・当該関連当事者が会社等の場合には、その名称、所在地、資本金または出資金、事業の内容および当該関連当事者の議決権に対する当該提出会社の所有割合または当該提出会社の議決権に対する当該関連当事者の所有割合
・当該関連当事者が個人の場合には、その氏名、職業および当該提出会社の議決権に対する当該関連当事者の所有割合
・当該提出会社と当該関連当事者との関係
・取引の内容
・取引の種類別の取引金額
・取引条件および取引条件の決定方針
・取引により発生した債権債務に係る主な科目別の期末残高
・取引条件の変更があった場合には、その旨、変更の内容および当該変更が財務諸表に与えている影響の内容

なお、関連当事者との間の取引のうち次の取引については、上記の注記は不要です(財規8条の10第2項)。
・一般競争入札による取引ならびに預金利息および配当金の受取りその他取引の性質からみて取引条件が一般の取引と同様であることが明白な取引
・役員に対する報酬、賞与および退職慰労金の支払い

親会社・子会社

他の会社等の財務および営業または事業の方針を決定する機関(株主総会その他これに準ずる機関。以下「意思決定機関」といいます)を支配している会社をいいます(財規8条3項)。一方、支配されている当該他の会社等を子会社といいます。なお、親会社および子会社または子会社が、他の会社等の意思決定機関を支配している場合における当該他の会社等も、その親会社の子会社とみなされます(財規8条3項)。

ここで、「他の会社等の意思決定機関を支配している会社」とは、他の会社等の議決権の過半数を自己の計算において所有している会社に加えて、「他の会社等の議決権の100分の40以上、100分の50以下を自己の計算において所有している会社であって、かつ、次に掲げるいずれかの要件に該当する会社」をいいます。
イ 自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者および自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせて、他の会社等の議決権の過半数を占めていること。
ロ 役員もしくは使用人である者、またはこれらであった者で自己が他の会社等の財務および営業または事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該他の会社等の取締役会その他これに準ずる機関の構成員の過半数を占めていること。
ハ 他の会社等の重要な財務および営業または事業の方針の決定を支配する契約等が存在すること。
ニ 他の会社等の資金調達額(貸借対照表の負債の部に計上されているものに限る)の総額の過半について融資(債務の保証および担保の提供を含むを行っていること(自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係のある者が行う融資の額を合わせて資金調達額の総額の過半となる場合を含む)。
ホ その他他の会社等の意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること。

また、「他の会社等の意思決定機関を支配している会社」には、「自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者および自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせた場合(自己の計算において議決権を所有していない場合を含む)に他の会社等の議決権の過半数を占めている会社であって、かつ、上述したロからホまでに掲げるいずれかの要件に該当する会社」も含みます(財規8条4項3号)。

ただし、財務上または営業上もしくは事業上の関係からみて他の会社等の意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められる会社は、この限りではありません。具体的には、その他の事業を営んでいない財産保全会社等が該当します。

他の会社等の議決権の過半数を自己の計算において所有しているにもかかわらず当該他の会社等を子会社としなかった場合には、当該他の会社等の名称および子会社としなかった理由を開示する必要があります(連結財規13条2項3号)。また、子会社で連結対象としない会社(非連結子会社といいます)がある場合には、主要な非連結子会社の名称および連結の範囲から除いた理由を開示する必要があります(連結財規13条2項2号)。

関連会社

会社(当該会社が子会社を有する場合には、当該子会社を含む)が、出資、人事、資金、技術、取引等の関係を通じて、「子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合」における当該子会社以外の他の会社等をいいます(財規8条5項)。

ここで、「子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合」とは、次に該当する場合をいいます(財規8条6項)。
・子会社以外の他の会社等の議決権の20%以上を自己の計算において所有している場合
・子会社以外の他の会社等の議決権の15%以上、20%未満を自己の計算において所有している場合であって、かつ、次に掲げるいずれかの要件に該当する場合
イ 役員もしくは使用人である者、またはこれらであった者で自己が子会社以外の他の会社等の財務および営業または事業の方針の決定に関して影響を与えることができる者が、当該子会社以外の他の会社等の代表取締役、取締役またはこれらに準ずる役職に就任していること。
ロ 子会社以外の他の会社等に対して重要な融資を行っていること。
ハ 子会社以外の他の会社等に対して重要な技術を提供していること。
ニ 子会社以外の他の会社等との間に重要な販売、仕入れその他の営業上または事業上の取引があること。
ホ その他子会社以外の他の会社等の財務および営業または事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができることが推測される事実が存在すること。
・自己の計算において所有している議決権と自己と出資、人事、資金、技術、取引等において緊密な関係があることにより自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者および自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者が所有している議決権とを合わせた場合(自己の計算において議決権を所有していない場合を含む)に子会社以外の他の会社等の議決権の20%以上を占めているときであって、かつ、前号イからホまでに掲げるいずれかの要件に該当する場合

ただし、「財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて子会社以外の他の会社等の財務及び営業又は事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができないことが明らかであると認められるときは、この限りでない」とされています。 

なお、他の会社等の議決権の20%以上、50%以下を自己の計算において所有しているにもかかわらず当該他の会社等を関連会社としなかった場合には、当該他の会社等の名称および関連会社としなかった理由を開示する必要があります(連結財規13条4項3号)。

連結財務諸表を作成していない会社の場合、関連会社に対する投資の金額ならびに当該投資に対して持分法を適用した場合の投資の金額および投資利益または投資損失の金額を注記しなければなりません(財規8条の9)。ただし、損益等からみて重要性の乏しい関連会社については除外してこれらの金額を算出することができます。

関係会社

財務諸表提出会社の親会社、子会社および関連会社ならびに財務諸表提出会社が他の会社等の関連会社である場合における当該他の会社等をいいます(財規8条8項)。

マネジメントレター

監査人(監査法人)が経営者に提出する長文式監査報告書のことです。監査証明に用いられる監査報告書は定型的な文言で「実施した監査手続き」や「財務諸表が適正か不適正かといった結論」などが紙1枚に簡潔に記されています。これは、監査報告書の目的が財務諸表の読者である投資家に対して財務諸表の適正性を保証することにあるからです。しかし、財務諸表が適正なレベルだからといって、その会社の会計上あるいは内部統制上の問題点がゼロというわけではありません。監査人は、最終的な監査意見が「適正」であったとしても、その意見を形成する監査手続きの過程でさまざまな問題点を把握しているのが通常です。それらの問題点を指摘し、併せて改善策を提案するのがマネジメントレターです。

マネジメントレターは公表を前提にしたものではありません。また、必ず作成されるものでもありません。もっとも、マネジメントレターは引受審査や上場審査に際して審査対象とされます。マネジメントレターには会計監査の観点から監査人が把握した会社の問題点が凝縮されているからです。

セグメント情報の注記

有価証券届出書や有価証券報告書の提出会社は、【経理の状況】欄で、財務諸表利用者が、企業の事業活動の内容や過去の業績を理解し、将来のキャッシュ・フローを適切に予測できるように、企業を構成する一定の単位(以下「報告セグメント」という)に関する下記の情報(以下「セグメント情報」という)を開示しなければなりません。
・報告セグメントの概要
・報告セグメントごとの売上高、利益または損失、資産、負債その他の項目の金額およびこれらの金額の算定方法
・上述した金額の項目ごとの合計額と当該項目に相当する科目ごとの(連結)貸借対照表計上額または(連結)損益計算書計上額との差額および当該差額の主な内容

また、関連情報として次に掲げる事項を開示する必要があります。
・製品およびサービスごとの情報
・地域ごとの情報
・主要な顧客ごとの情報

非支配株主に帰属する当期純利益

100%子会社ではない連結子会社がある場合、当該連結子会社の利益や損失のうち親会社に帰属しない分、すなわち非支配株主持分に帰属する利益や損失を認識して親会社に帰属する分とは別に把握する必要があります。これが非支配株主に帰属する当期純利益といわれる連結損益計算書上の項目です。

税効果会計

貸借対照表または連結貸借対照表に計上されている資産および負債の金額と課税所得の計算の結果算定された資産および負債の金額との間に差異がある場合において、当該差異に係る法人税等(法人税、住民税及び事業税(利益に関連する金額を課税標準として課される事業税)をいう)の金額を適切に期間配分することにより、法人税等を控除する前の当期純利益の金額と法人税等の金額を合理的に対応させるための会計処理をいいます。「税効果会計に係る会計基準」には、より詳しく、「企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において、法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金(法人税等)の額を適切に期間配分することにより法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続」と定義されています(税効果会計に係る会計基準第一)。

上場準備会社で監査人による財務諸表監査が行われていない段階では、財務諸表に税効果会計を適用していないケースが多く見受けられます。その場合、監査法人のショートレビューにおいて税効果会計の適用が未了である旨指摘されることとなります。また、税効果会計を適用した後に、繰延税金資産の回収可能性に疑義があるとして、監査法人から過年度に計上した繰延税金資産の取り崩しを要請されるケースもあります。

剰余金の配当

株式会社は、株主総会の決議で、株主に対して剰余金の配当をすることができます(なお、自己株式には配当はできません)。その際には次の事項についての決議が必要となります(会社法454条1項)。

・配当財産の種類および帳簿価額の総額
・株主に対する配当財産の割当に関する事項
・当該剰余金の配当がその効力を生ずる日

配当は、金銭だけでなく、現物を配当することも可能です。いずれにしろ、分配可能額を超えて配当することは認められていません(会社法461条)。

なお、剰余金の配当等を決定するのは原則として株主総会ですが、次に掲げる一定の要件をみたした場合は、取締役会で決定できるよう、定款で定めることができます(会社法459条1項4号)。
・会計監査人設置会社であること
・取締役の任期が1年であること
・監査役会を設置していること
・現物配当の場合は株主に対して金銭分配請求権を与えていること

任意積立金の目的内取崩

任意積立金について、その積立目的に沿った取り崩しをすること。目的内取崩であれば、会社計算規則181条2項2号により、株主総会の決議を経ないで、取締役会(取締役会設置会社の場合)で取り崩すことができます。

任意積立金の目的内取崩を行った場合、株主資本等変動計算書で表示されることとなります。

自己資本利益率

ROE(Return on Equityの略)とも言われ、税引後利益を分子として、それを純資産で除して計算します。上場会社ではROEを重視する経営スタイルが浸透しており、上場準備会社でもROEを意識した経営を心掛ける必要があります。

自己資本利益率の計算に際して、分母の純資産の金額は期中平均額(たとえば期首と期末を単純平均した金額)を用います。分子の「利益」が一定の「期間」に獲得したものであることから、純資産も期首と期末の平均値を用いることで当該利益を獲得した「期間」にあわせることになります。自己資本比率(自己資本÷総資本)が期末の数字だけで計算されていたことと混同しないようにする必要があります。

予実分析

予算と実績との差額について分析を実施することをいいます。通常は経営企画室や経理等が各部門の協力を仰ぎながらとりまとめた上で、月次の定例取締役会で各部門の長が月次決算とともに報告を行います。分析結果は事業の撤退・存続といった会社の基本的事項に関する意思決定から、社内リソースの再配分、各事業部門の業績評価等様々な意思決定の基礎資料として利用されます。

迅速な経営意思決定を可能にするために、予実分析は月次ベースで行う必要があります。月次で予実分析を行うための前提として、迅速な月次決算が必要となります。株式公開に際しての審査においても、月次決算が迅速に行われているか、その月次決算(実績)を月次予算と比較し、差異が重要であれば分析を実施しているか、といった点が重点的に審査されます。

予実分析を実効性あるものとするためには、予算の精度が高いものである必要がありますが、ベンチャー企業では、期中にビジネスモデルに変更が加えられることが少なくなく、予算を適時見直す必要が生じます。陳腐化してしまった予算と実績を較べても意味のある分析はできないからです。

ページトップへ